非仏教音楽

立正佼成会では式典にさまざまな音楽を取り入れています。雅楽、箏曲、合唱、パイプオルガン、ウインドオーケストラなどなど・・・。私のような物好きは「今日は何が聴けるのかな」と、いつもワクワクしています。特に、大聖堂内に響きわたるパイプオルガンの荘重な音色は格別です。いつもうっとりと耳を傾けてしまいます。ただ、オルガンのために作曲された仏教音楽は当然のようにごく少なく、演奏されるのはほとんどが西洋音楽です。

 そもそもオルガンは中世ヨーロッパのゴシック建築の教会と共に発展してきたという経緯があり、キリスト教とは深い関わりを持っています。あの大バッハも、ワイマール、ケーテン、ザクセンなどの各都市で宮廷楽師を歴任し、世俗音楽家として活動しながらも、ライプツィヒの聖トーマス教会の教会音楽家(トーマスカントル)なども拝命し、教会音楽家としても活躍ました。そして、作りも作った生涯1000曲以上!これが現代の音楽家たちのレパートリーの基礎になるのですね(ちなみに子沢山でも有名で、子供達も音楽家としてそれぞれが活躍、音楽界に多大な貢献をしましたとさ)。

 そういうわけで、かなりの確率で大聖堂ではバッハの作品が演奏されています。カンタータやコラールなど良く知られた旋律が多く、心安く聴いていられます。仏教徒にとっては異教の音楽になるわけですが、宗教音楽である以上、さして違和感はありません。

 ところが先日、バッハの曲がひとしきり流れた後、ヘンデルの世俗のアリアが聞こえてきました。歌劇「セルセ」より「オンブラ・マイ・フ(親愛の木陰)」。この曲はメロディこそ美しいのですが、劇の内容を調べてみると、ペルシャ王セルセが大真面目にプラタナスの木に愛の告白をする、というどうにも珍妙な場面で歌われます。

 「えっ、こんな曲演奏してもイイの!?」と吃驚。まあ雅楽の徒がオルガニストにいちゃもんを付けるのも何なのですが。
 「それならばこちらも」とばかりヘンデルの別の歌劇「リナルド」よりアルミレーナの有名なアリアをチョイス。こいつのコードを笙で鳴らしてみました。イ長調(黄鐘水調)に移して運指をちょっと工夫すれば「らしく」聞こえます。

工引引凡引引一引引工引引
下引引乙引引工引一乞引引

ド♯--レ--シ--ド♯--
ファ♯--ミ--ド♯-シラ--

 式典で早速これを試してみたところ、雰囲気もタイミングもピッタリです。今まで使っていたモーツァルトの「『魔笛』序曲」は長すぎて尻切れトンボになってしまうので別の曲を探していたのです(魔笛も世俗音楽では、というツッコミもありそうですが)。当分はこのヘンデルで行けそうです。

 しかし「魔笛」といいヘンデルといい、だんだんと仏教とは関係ない音楽に心惹かれてゆく今日このごろです。 SS
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コメント

  1. katsu より:

    ヘンデル歌劇「リナルド」アリア聴きました。
    この伴奏を笙ですか!是非トライしたいですね♪

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