雅楽には、日本古来より歌い舞い継がれてきた「国風歌舞(くにぶりのうたまい)」と、仏教文化の伝来と同時期に古代アジア諸国より伝えられた「大陸系の楽舞」、そして平安時代に上流階級で流行した、器楽演奏と歌を楽しんだ「謡物(うたいもの)」の、大きく分けて三つの起源があります。これらは平安時代に整理統合が行われ、それぞれが影響を与え合いながら、我が国の気候風土に合わせて現在の形に整えられてゆきました。
雅楽の主な演奏形態は、管楽器(笙・篳篥・龍笛)と絃楽器(箏・琵琶)そして打楽器(鞨鼓・太鼓・鉦鼓)で合奏を行う「管絃(かんげん)」と、それらの雅楽器の伴奏で舞う「舞楽(ぶがく)」、雅楽器の伴奏に合わせて歌う声楽「歌謡(かよう)」に分けられます。
千数百年の伝統を持つ雅楽は、現存する合奏音楽としては世界最古とされ、歴史的・芸術的に高い価値を持つものです。平成21年には、宮内庁楽部の演奏する雅楽が、ユネスコ無形文化遺産保護条約「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」へ記載されました。これにより、雅楽は貴重な芸術文化財として、国内のみならず広く海外にも認知されることとなりました。